特集 脊髄および末梢神経鞘腫瘍のすべて
特集にあたって
原 政人
1
1愛知医科大学脳神経外科・脊椎脊髄センター
pp.293
発行日 2023年6月30日
Published Date 2023/6/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202076
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本誌においても過去に取り上げられている脊髄神経鞘腫は,日本において比較的よく遭遇する良性腫瘍であり,硬膜内髄外腫瘍としてみられることが多い.神経線維腫やplexiform neurofibromaとは発生様式が異なるため,ほとんど合併症をきたすことなく全摘出可能であるが,発生を理解した摘出術がなされていない現状がある.
本稿では,神経鞘腫瘍の分類,画像診断について造詣の深い先生方にお願いして執筆いただいた.これらを理解することが私たち脊髄外科医にとっては非常に重要なことと考えている.また,私たち脊髄外科医が比較的よく遭遇する脊髄髄内神経鞘腫瘍の手術法について,国内のエキスパートに執筆いただき,手術における基本的考え方や手術方法について詳しく説明をしていただいた.私自身,末梢神経の神経鞘腫を多く取り扱うようになって,強く神経解剖を意識するに至り,この経験を脊髄神経鞘腫に生かして手術を行うようになっている.末梢神経の神経鞘腫瘍は多科に跨って診察されており,神経原生腫瘍である認識がないまま手術を行えば,重大な神経合併症をきたす.今回,末梢神経鞘腫瘍にまで話題を広げたのは,脊髄外科医が末梢神経鞘腫の外科治療にもっと参入してほしいからである.
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