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はじめに
大阪医科薬科大学病院では2015年から多職種参加型の骨転移キャンサーボードを開始した.診療情報管理士による対象患者抽出と放射線科診断医による事前のカルテおよび画像チェックに加えて,施行されるCTやMRIなどのすべての画像結果の診断時に骨転移の有無をチェックし,放射線診断医と放射線治療医,整形外科医が症例に応じて骨転移キャンサーボードを通じて密に連携し緊急放射線照射,緊急手術を行って対応している.
この緊急介入の目的は,①痛みの軽減,②麻痺の予防・改善,③病的骨折予防である.
特に脊髄圧迫症状のある骨転移においては外科手術の適応を考慮するが,手術適応は予後が3〜6カ月以上,全身状態が比較的よいことなどを適応条件としている.
緊急手術としての特に富血管性の脊椎骨転移症例に対する病巣切除+脊椎後方固定術の手術直前に,術中・術後出血量を軽減するために複数の体節動脈(segmental artery)の術前塞栓術を併用することが多い.
われわれ放射線診断医にはinterventional radiology(IVR)を専門とする立場があり,骨転移の介入治療の前に治療手技提供が必要とされる場合がある.非血管系治療として椎体形成術や焼灼術が,血管系の治療として術前塞栓術や緩和的動脈塞栓術が保険診療で施行可能である.特に血管塞栓術はどの施設でも誰でも明日から患者の治療選択肢増加につながり,転移をきたして病的骨折や脊髄麻痺を生じてADLやQOLが低下する患者を1人でも少なくすることが期待される手技である.
本稿では,当院で施行している術前塞栓術について,その塞栓方法,手技の注意点,さらに整形外科が何を期待するかをわかりやすく,臨床経験と文献を踏まえて紹介する.
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