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特集 転移性脊椎腫瘍治療大全
第4章 治療の工夫と問題点
がんの種類に応じた,転移性脊椎腫瘍の治療戦略—NOMS frameworkの重要性と今後の課題
Histology Tailored Therapeutic Strategy for Spinal Metastatic Tumor
松本 嘉寛
1
Yoshihiro MATSUMOTO
1
1福島県立医科大学整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Fukushima Medical University
キーワード:
転移性脊椎腫瘍
,
spinal metastatic tumor
,
NOMS frame work
,
経皮的椎弓根スクリュー
,
percutaneous pedicle screw
,
PPS
Keyword:
転移性脊椎腫瘍
,
spinal metastatic tumor
,
NOMS frame work
,
経皮的椎弓根スクリュー
,
percutaneous pedicle screw
,
PPS
pp.821-828
発行日 2024年12月25日
Published Date 2024/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002202416
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はじめに
分子標的薬の普及,腫瘍免疫療法の出現など,治療法の進歩により悪性腫瘍の予後は着実に改善している.そのため,これまでは骨/脊椎転移の予後は一般的には数カ月以内と考えられていたが,組織型によっては年単位での生存が可能となる症例もしばしば経験する.
骨転移,特に転移性脊椎腫瘍は,症候化すると難治性疼痛や麻痺症状をきたし,全身状態(Performance Status:PS)を低下させる.その結果,原発腫瘍に対する治療の継続が困難となり,予後が悪化することが予想される.
これまでに,脊椎転移に対する治療方針の決定のため,予後予測を基本とした種々のアルゴリズムが報告されてきた.特に,本邦で開発されたTokuhashi score22)やKatagiri score11)などは,外部評価によってもその有効性が確認され,ガイドラインでも使用が推奨されている20).
しかしながら,原発巣の生物学的特徴により,脊椎転移の病態はそれぞれに異なる.よって,単一のアルゴリズムですべての脊椎転移の治療法を一元的に選択することは最早困難である.そのため近年,NOMS frameworkと呼ばれる,転移性脊椎腫瘍に対する治療方針決定のための新しい枠組み(framework)が提唱された15).
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