転移性脊椎腫瘍の標準的放射線治療の適応と効果・有害事象

Indications, Efficacy, and Adverse Events of Conventional External Beam Radiotherapy for Metastatic Spinal Tumors

はじめに

　悪性腫瘍の骨転移は，進行がん患者において比較的よくみられる病態であり，患者の生活の質に大きな影響を及ぼす．特に脊椎に転移した場合，疼痛や神経症状，さらには脊椎の病的骨折などが生じることが多い．放射線治療は，転移性脊椎腫瘍に対する治療として，手術と並んでその中心的な役割を担っている．

　標準的放射線治療（conventional external beam radiotherapy）とは「従来から行われてきた外部照射」という意味であり，通常，単に照射とも呼ばれる．近年の技術の進歩により，精密かつ高線量の照射が可能な体幹部定位放射線治療（stereotactic body radiotherapy：SBRT）が注目されているが，標準的放射線治療は費用対効果や利便性に優れており，放射線治療施設であればどこでも実施可能であることから，依然として多くの症例で使用されている．

　本稿では，転移性脊椎腫瘍に対する標準的な放射線治療，すなわち通常照射の適応，効果，およびその有害事象などについて解説する．