ガイドラインでみる転移性脊椎腫瘍のマネジメント

Management of Spinal Metastasis According to Guidelines

はじめに

　がん患者の増加とがん治療の進歩に伴い，がん生存者の増加が社会問題になっている．このため，転移性骨腫瘍（骨転移）をもったまま生存しているがん患者も増加しており，がん治療や骨転移のマネジメントの向上により生命予後が延長し，地域社会で生活することが一般的になってきた．このようにがん患者やがん治療，そして転移性骨腫瘍を取り巻く社会環境，医療環境が変化している中で，本邦における転移性骨腫瘍に対するガイドラインである骨転移診療ガイドライン（日本臨床腫瘍学会編）も2022年に改訂された．また，海外においても転移性脊椎腫瘍の治療における英国のガイドラインであるspinal metastases and metastatic spinal cord compressionに対するNational Institute for Health and Care Excellence（NICE）ガイドラインが2023年に公開された．本稿では，この2つのガイドラインのほか，がんのリハビリテーション診療ガイドライン第2版における転移性骨腫瘍や脊椎腫瘍に関する部分についてレビューを行い，ガイドラインに基づいた転移性脊椎腫瘍のマネジメントについて概説する．