Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
現在,年間の新規がん罹患発症症例数は約100万人と報告され,一生のうちにがんになる確率が2人に1人といわれている4).また,薬物治療の進歩により,進行期にあるがん症例の生命予後は明らかに伸びており,転移性骨腫瘍を有する症例が増え,整形外科医が転移性骨腫瘍の診断,治療に携わる機会が増えていると予想される.
さらに,骨転移を契機にがんが発覚する,いわゆる初診時原発不明がん患者も増えてきていると考える.当科にもほぼ毎週のように転移性骨腫瘍が疑われた患者が,精査・加療目的で紹介されてくる.これまでがんの診断・治療を受けたことがない症例の腰や頸部の痛みや四肢のしびれ,肋間神経痛が,実は転移性脊椎腫瘍によるものであったということが今後さらに増えると考える.
転移性骨腫瘍の発症部位で,脊椎は最も多くおよそ半分を占めるとされ1),転移性脊椎腫瘍の診断を早期に行えるかどうかは,その後の予後に大きく影響し,生命に関わる問題となる.診断の遅れにより,脊椎転移が進行し疼痛および下肢神経麻痺の悪化〔イコールPerformance Status(PS)の悪化〕をきたし,PSがよければ受けることができた薬物療法の適応がなくなり,best supportive careの方針となった症例を経験してきた.
本稿では,日常診療において,脊椎転移を見逃さないようにする画像診断のポイント,他科でがんの治療中または治療後のフォローアップ時に,骨転移を適切なタイミングで発見するコツ,そして原発不明がん骨転移として,総合病院に紹介されたあと,脊椎転移と確定診断し,原発巣を明らかにして,早急に治療方針を決定するための方法について概説する.
Copyright © 2024, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.