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はじめに
骨は転移が生じやすい臓器として知られており,特に乳がん,肺がん,前立腺がん,腎がんでよくみられる.その中でも脊椎への転移は疼痛や骨折,神経の圧排による症状が生じ,quality of life(QOL)やactivities of daily living(ADL)の低下をきたす.従来手術による治療が行われてきたが,有害事象や予後の観点から適応とならない患者も多い.そのため,薬物療法や放射線治療,ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation:RFA)や凍結治療といったinterventional radiology(IVR)による治療が代替治療として行われている.
凍結治療は高圧のアルゴンガスをニードルに通気することで,ジュール・トムソン効果によりニードル先端周囲を急速に冷却し,腫瘍を凍結,壊死させる治療法で,わが国では2011年7月より小経腎細胞がんに対して保険収載された.凍結治療を行うためには冷凍手術器だけでなく,アルゴンガスやヘリウムガスを使用するためのタンクや配管設備の設置が必要であり,2023年4月時点で,凍結治療を行うことのできる施設は約25施設程度と多くはない.現在わが国で使用されている冷凍手術器は,Boston Scientific社のCryoHitとVisual-ICE(図 1)がある.CryoHitは現在販売中止となっているが,CTだけでなくMRIガイド下にも治療が可能である.Visual-ICEはCTガイドのみの対応である.複数本のニードルを同時に用いることで大きな凍結範囲(アイスボール)(図 2)が得られることがRFAと比べた際の利点であるが,1本のニードルでは大きな治療範囲が得られないため,腫瘍サイズに応じて数本のニードルを腫瘍に穿刺し,腫瘍全体をアイスボールで覆う必要がある.また,骨腫瘍に対する凍結治療は自費診療で行う必要があるが,高額なニードルを複数本用いることもあるため金銭的な負担が大きく,わが国では普及していない.本稿では,転移性骨腫瘍に対する凍結治療について概説する.
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