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特集 成人脊柱変形Up to Date
第1章 総論
脊柱における加齢の影響(椎骨,椎間板,椎間関節,靭帯,筋,脊髄)—成人脊柱変形における病態理解のために必要な要素
Influence of Aging on the Spinal Column(Vertebrae, Intervertebral Disc, Facet Joints, Muscle and Spinal Cord)
酒井 大輔
1
Daisuke SAKAI
1
1東海大学医学部外科学系整形外科学
1Department of Orthopaedic, Tokai University School of Medicine
キーワード:
椎体
,
vertebrae
,
椎間板
,
intervertebral disc
,
加齢
,
aging
Keyword:
椎体
,
vertebrae
,
椎間板
,
intervertebral disc
,
加齢
,
aging
pp.668-674
発行日 2022年3月25日
Published Date 2022/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002201721
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はじめに
成人期の脊柱変形の治療に画一的な戦略はなく,病態,個体差など多くの変動要因を含むことから一筋縄でいかないことも多い.個々の患者によりよい治療を提供するうえで,主治医に求められることは,脊柱を構成,支持する組織における加齢による影響と形態,組織学的な変性変化の理解に基づく病態の把握である.成長期終了後,青壮年期の脊柱アライメントはその発育過程で獲得したバランスならびに姿勢制御能力に影響を受けつつ,個々に特有なeconomic postureに準じてS字に近い形態をとる(図 1).その後,継時的にアライメントを構成する椎骨,椎間板,椎間関節,靭帯,筋,脊髄などの加齢変化によって,椎体前方の椎体高,椎間板高減少による後弯変形,椎間関節の変形,靭帯変性による椎骨間の変形,脊柱起立筋群,体幹筋群の減少,筋力低下に伴う後弯進行,中枢神経の障害による姿勢制御不全などからアライメント不良をきたす(図 1).すなわち,椎骨,椎間板,靭帯からなる静的支持機構と周辺筋肉からなる動的支持機構,神経支配による制御すべてがアライメントに重要な要素である.本稿では,アライメントを構成する組織の特性について解説する.
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