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はじめに
びまん性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis:DISH)は,脊椎を中心として主に腱や靭帯,関節包の付着部であるenthesisの石灰化,骨化を特徴とする非炎症性の疾患である.1950年にForestierら8)が強直性脊椎炎(ankylosing hyperostosis:AS)とは異なる病態として,高齢者に生じる脊椎の骨増殖症(senile ankylosing hyperostosis)を報告したのが始まりである.その後,1975年にResnickら24)が脊椎以外の末梢関節にも同様の変化が生じることからDISHと命名し,その翌年に診断基準22)を定めて世界に広まっている.有病率に関しては人種差がみられる.日本では,1,690例(平均65歳)を対象として全脊柱単純X線を利用した研究11)で10.8%(男性22.0%,女性4.8%),3,013例(平均65歳)を対象として胸部CTを利用した研究で8.7%(男性13.1%,女性2.5%)と報告されているが,Caucasianでは男性で20〜30%,女性で10〜20%と報告28,29)されている.DISHの画像的特徴としては,中下位胸椎および頸椎が好発部位であり,前縦靭帯(anterior longitudinal ligament:ALL)の骨化や側面の骨化が生じる.側面の骨化は通常両側性だが,胸椎部では右側がより突出していることが多い8).内臓逆位では左側がより突出していることが多く,大動脈の影響が考えられる2).危険因子としては,高齢,男性,肥満,糖尿病,高尿酸血症など11,12)が挙げられる.病因はまだ解明されてないが,遺伝的要因として後縦靭帯骨化症(ossification of the posterior longitudinal ligament:OPLL)に関連するCOL6A1,線維芽細胞や軟骨細胞の増殖に関連する代謝性因子(成長因子,IGF-1など),また肥満や脂質異常なども報告されている16).診断基準としては,いまだに1975年に報告されたResnickら22)の診断基準が広く使用されているが,本稿ではほかの報告も含めたDISHの診断基準および脊椎症やASとの鑑別について要点をまとめ,最後にその診断基準,分類についての課題を述べたい.
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