びまん性特発性骨増殖症（DISH）合併の胸腰椎損傷

Thoracolumbar Injury in the Patients with Diffuse Idiopathic Skeletal Hyperostosis

はじめに

　びまん性特発性骨増殖症（diffuse idiopathic skeletal hyperostosis：DISH）では，軽微な外傷もしくはまったく外傷の既往がなくとも脊椎損傷をきたすことがある^14,16）．さらに，初期の自覚症状が乏しいことによる患者の認識不足，医師の疾患に対する認識不足による診断の遅れ，それによる遅発性麻痺の発症などの特徴があるため，診療の際に十分に注意すべきである．海外からの報告によると，DISHを合併した脊椎損傷は頸椎損傷が多く，死亡率も高く，麻痺も重症であるが^2），本邦では胸腰椎に多いことが報告されている^{10〜13,18）}．

　DISHを合併した胸腰椎損傷は，広義では強直していないDISH隣接椎損傷も含むが，本稿では強直脊椎部の損傷のみを対象として，DISHを合併した胸腰椎損傷の臨床像や治療について概説する．