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仙腸関節
筋・骨・関節などの運動器の幾何学的偏位を対象とした運動学は,関節運動学と骨運動学に分類されている10).骨盤を構成する骨は,寛骨と仙骨である.思春期までは寛骨ではなく,腸骨・恥骨・坐骨で形成されており,7〜8歳頃に坐骨と恥骨が骨融合して,その後腸骨との融合が起こり16歳〜18歳で臼蓋窩軟骨の骨化で一体となり,寛骨となる.そのために,融合前の腸骨と仙骨の間の関節を仙腸関節といい,融合後も名称は変わらない15).仙腸関節の面積は17.5cm2,また幅は1〜3mmくらいという報告が多い6).また,男性22.3cm2,女性18cm2という報告もある3,24).関節面は耳介様,C字状あるいはL字状の形態をしている.仙腸関節の仙骨面と腸骨面は同じ形状ではない9).腸骨面はほぼ凸面で,仙骨面は凹面になっている.仙骨面は中央部で陥凹して,頭側・尾側で隆起している.仙骨面を詳しく見ると,頭側からS1,S2,S3の要素に分かれている.S1は最も広く,S3は小さい.起立時,仙骨は前方に傾いている.思春期を過ぎるとサインカーブないしはプロペラ様の形となり,S3部の関節が矢状方向の動きを誘導する.この関節面が,可動結合に対して最も強い抵抗を示す.仙骨は下方より上方が広く,また後方より前方が広い形状である.これにより,重力や脊椎にかかる前方への力に対応している24).
仙腸関節は,滑膜関節1)の半関節で,関節頭や関節窩は不十分で関節面はいびつである.周囲は強固な靭帯で補強され,その運動性は著しく制限され,わずかな関節運動のみ可能である10).前1/3は真の滑膜関節である4).腸骨側下部は滑膜関節であるが,上方1/3は恥骨結合と同じ硝子軟骨であり,薄いものの耐圧性などで関節の整合性はよいが弾力性に乏しく可動制限をもたらす8).図 1のように,前1/3が滑膜関節で後2/3骨間靭帯で支持されている.滑膜は,仙骨側で厚く4mmくらい,腸骨側で薄く1〜2mmである12).後方は骨間靭帯による靭帯結合(syndesmosis)26)である.
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