Japanese
English
特集 脊椎手術体位の工夫—周術期合併症を避けるため
胸椎手術において周術期合併症を避けるための体位の工夫
Contrivance of Surgical Position in Thoracic Spinal Surgery
大和 雄
1
,
安田 達也
2
,
渡邉 悠
3
,
田仲 飛鳥
4
,
松山 幸弘
1
Yu YAMATO
1
,
Tatsuya YASUDA
2
,
Yuh WATANABE
3
,
Asuka TANAKA
4
,
Yukihiro MATSUYAMA
1
1浜松医科大学整形外科
2浜松医療センター整形外科
3菊川市立総合病院整形外科
4浜松医科大学附属病院医療機器管理部
1Department of Orthopaedic Surgery, Hamamatsu University School of Medicine
キーワード:
胸椎
,
thoracic spine
,
合併症
,
complication
,
手術体位
,
operative position
Keyword:
胸椎
,
thoracic spine
,
合併症
,
complication
,
手術体位
,
operative position
pp.1003-1008
発行日 2017年11月25日
Published Date 2017/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200744
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はじめに
胸椎は肺と心臓を内包する胸郭の一部であり,解剖学的には動きより安定性が求められる脊椎である.そのため,動きが機能に直結する頸椎や腰椎に比べて可動性に乏しいという特徴がある.胸椎は可動性の乏しさから頸椎や腰椎と比べて変性が少なく,日常診療上では手術加療を行うことが少ない1,3).しかし,胸椎の手術には胸髄症,胸椎椎間板へルニア,胸椎後縦靭帯骨化症(ossification of the posterior longitudinal ligament:OPLL),胸椎黄色靭帯骨化症(ossification of the ligamentum flavum:OLF),側弯症,脊椎脊髄腫瘍などの難易度の高い手術が多く含まれる.また,脊髄血流が乏しいことや脊柱管が狭いことなどもあり,治療に難渋することも多い.実際に日本脊椎脊髄病学会の脊椎脊髄手術調査報告では,合併症発生率は頸椎手術12.0%,腰椎手術10.1%であるのに対して,胸椎手術は14.8%と高率であった3).胸椎の手術時には,安定した脊椎と可動性の乏しさのために,術中体位に関してはあまり注意を払われていないが,中には術中体位に難渋する症例がある.本稿では,胸椎の解剖学的特性を再確認するとともに,手術において合併症の予防のために体位に工夫を要した症例を紹介する.
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