Japanese
English
展望
Dynamic Psychiatry—アメリカの現状
The Current Status of Dynamic Psychiatry in the U.S.
中久喜 雅文
1,2
Masafumi NAKAKUKI
1,2
1東京サイコセラピーセンター
2聖マリアンナ医科大学精神科
1Tokyo Psychotherapy Center
2St. Marianna University Medical School
キーワード:
Psychiatry
,
Dynamic
,
History
,
Present
,
Managed care
,
U.S.
Keyword:
Psychiatry
,
Dynamic
,
History
,
Present
,
Managed care
,
U.S.
pp.230-243
発行日 1997年3月15日
Published Date 1997/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904284
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■Dynamic Psychiatryの意義と応用
精神医学の“Remedicalization”,生物学的精神医学の発達などにより,一見アメリカの精神医学は,生物学的精神医学の様相を呈しているようにみえる。しかしそれはBio-Psycho-Socialという大きな枠組みの中で統合されつつあり,良識のある,有能な精神科医たちは,精神医療における力動的概念の重要性を強調している35)。多数の社会的,文化的価値観が共存し,また激しく揺れ動くアメリカの社会では,力動的なオリエンテーションで患者を治療しないと,臨床活動を続けてゆけない。
Dynamic,またはPsychodynamic psychiatryは,従来のアメリカ精神医学の特徴であるとみなされてきた。その古典的な理論によると,患者の精神病理,行動異常は,患者個人の精神内界の「力動的な無意識」のこころのプロセスの結果起こるものであると理解し,その理解に基づいて治療が進められる。例えば無意識の欲望,感情,思考に対する自我の防衛,さらに人間の良心ともいうべき超自我の関与など,患者の意識的,無意識的なこころの相互交流によって症状が形成されるとする。
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