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はじめに
脊柱の矢状面X線パラメータの異常,特に腰椎・骨盤アライメント異常によるグローバルアライメントの異常が健康関連QOLに関連するということがわかってきて,その研究が近年盛んに行われている2,4,10〜12).特に,矢状面アライメント異常を矯正する手術も増加傾向で,矯正の参考値となる各パラメータの正常値を知ることは重要である.さらに近年,腰椎・骨盤パラメータの重要性に加えて,頸胸椎移行部パラメータの指標であるT1slopeの重要性も挙げられている.骨盤と腰椎,腰椎と胸椎,胸椎と頸椎というように隣り合う各部は有意な相関をもつという「Chain of Correlation」という考え方に基づいて考えると1),腰椎・骨盤アライメント異常が進行するとその異常が頸椎まで波及するため,T1slopeはグローバルアライメントの指標になると考えられているからである3,5,6).そのため,頸胸椎移行部や頸椎アライメントの正常値に関する必要性も増してきていると思われるが,その報告は少ない.また,当科ではX線パラメータの正常値を調査することにおいて,年代はもちろんのことだが,性別の違いに関しても重要であると考えている.なぜなら,男性と女性の間にはそもそもの骨格に違いがあるからである.しかし,矢状面アライメントの各X線パラメータに関して年代と性別に分けて調査した報告は世界的にみても少ない.今回,当科で実施している愛知県北設楽郡東栄町で実施している住民健診のデータ(TOEI Study 2012)から得られた年齢50歳代以上の矢状面立位X線パラメータ(胸腰椎・骨盤,さらに一部頸椎を含める)の正常値と自然経過について報告する8).ただし,本研究はあくまでも縦断研究ではなく横断研究であるため,自然経過を評価することは本来ふさわしくないということに留意する必要がある.
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