Nomade
電気生理学的検査の有用性,病歴聴取の重要性
黒川 勝己
1
1広島市立広島市民病院脳神経内科
pp.5-6
発行日 2017年1月25日
Published Date 2017/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200522
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脊椎疾患の外科手術に際して,運動ニューロン疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の可能性を評価しておくことは大変重要である.ALSを脊椎疾患として手術することは不要な手術をするという意味で問題であるし,手術を契機にALSの症状(筋力低下)が急速に進行する可能性もある.逆に,脊椎疾患をALSと誤診して手術せず,その結果症状が改善しないあるいは進行するのも問題である.そのため,脊椎外科医も神経内科医も日常臨床で常に両者の鑑別に注意を払っていると思う.
両者の鑑別は決して容易ではなく,重要なテーマなので,本誌でも特集されている(2010年23巻12号.特集:脊椎脊髄疾患と運動ニューロン疾患の鑑別).その特集には,画像所見のみに頼って手術の適応を判断するのではなく,症候学の十分な検討をすべきであるというメッセージが流れており,わが国で多く報告されている頸椎症性筋萎縮症(CSA)とALSの鑑別や,頸椎症を合併することが多いbrachial amyotrophic diplegia(BAD)の診断など,日常臨床に役立つ内容が取り上げられており,多くの脊椎外科医,神経内科医が参考にされているのではないかと思う.
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