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イラストレイテッド・サージェリー 手術編Ⅱ-91
胸郭出口症候群の手術治療—鎖骨上アプローチ
Surgical Procedure of Supraclavicular Approach for Thoracic Outlet Syndrome
原 政人
1
Masahito HARA
1
1稲沢市民病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Inazawa Municipal Hospital
pp.989-998
発行日 2016年11月25日
Published Date 2016/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200486
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はじめに
胸郭出口症候群(thoracic outlet syndrome:TOS)の外科的治療は,客観的診断の困難さゆえ,今なお議論のある手術の1つである.手術対象となるTOSは,症状で大別すると,neurogenic TOS,venous TOS,arterial TOSである.今回は,最も多いneurogenic TOSについての手術治療を示す.
主な手術方法として,鎖骨上アプローチと腋下アプローチの2つがあり,それぞれ良好な手術成績が報告されている.われわれは,腕神経叢を直接観察できる鎖骨上アプローチを採用している.
手術の適応,目的
手術の適応は,上肢の痛み,しびれ,筋力低下が保存的治療にても改善しない症状の強い症例としている.除外診断的要素が大きく,議論が多い疾患であるので,私たちは,誘発テスト(Roos test,Morley test,Adson test,Wright testなど)が陽性になることはもちろん,しびれ・痛みが尺側であり,上肢挙上位での3DCTAにおける鎖骨下動脈の狭窄所見があるもののみを手術対象にしている.典型的な症例(true TOS)では,母指球筋の萎縮を認め,電気生理学的にも診断可能とされるが,電気生理学的診断がはっきりしない症例も存在する.
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