Japanese
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特集 脊椎脊髄の冠名徴候・症候群
Ⅰ.冠名徴候
第7章:その他の徴候
Uhthoff現象
Uhthoff's Phenomenon
岡本 智子
1
Tomoko OKAMOTO
1
1国立精神・神経医療研究センター病院神経内科
1Department of Neurology, National Center Hospital, National Center of Neurology and Psychiatry
キーワード:
多発性硬化症(multiple sclerosis)
,
視神経脊髄炎(neuromyelitis optica)
,
Uhthoff現象(Uhthoff's phenomenon)
Keyword:
多発性硬化症(multiple sclerosis)
,
視神経脊髄炎(neuromyelitis optica)
,
Uhthoff現象(Uhthoff's phenomenon)
pp.368-369
発行日 2015年4月25日
Published Date 2015/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200109
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多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)は中枢神経の炎症性脱髄性疾患で,多くの患者は急性に発症し再発と寛解を繰り返すが,一部の患者は慢性に進行する経過をとる.また,中枢神経の障害部位によって,視力障害,筋力低下,感覚障害などさまざまな症状をきたす.視神経脊髄炎(neuromyelitis optica:NMO)は主に視神経と脊髄を侵す炎症性疾患で,再発寛解を繰り返すことが多く,視力低下,筋力低下,感覚障害などMSと類似した症状を呈する.近年,NMOは水チャネルであるアクアポリン4に対する抗体が病態に関与することが報告され6),病態機序がMSと異なると考えられている.MS,NMO患者の症状は,発症早期にステロイドパルスや血漿交換療法などの急性期治療を行うことにより症状が回復することが期待できるが,程度によっては症状が残存する場合もある.
MS,NMOの患者は,長時間の入浴や炎天下の外出などで,あるいは感冒や運動など体温上昇が起こる状態で,視力低下や筋力低下,疲労感,しびれなどの症状が発現または増悪することがあり,これがUhthoff(ウートフ)徴候と呼ばれている.
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