- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1.はじめに
花粉を吸入することで,アレルギー体質の人ではその花粉に特異的なIgE抗体が産生され,鼻の粘膜などにある肥満細胞上に固着する.このような状態を感作が成立したという.再度,同じ花粉抗原が入ってくると,肥満細胞上の特異的IgE抗体と反応し,肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が遊離され,くしゃみ,水性鼻汁,鼻閉などの花粉症症状が出現する.花粉症の発症には,このように特異的IgE抗体とアレルゲンである花粉が反応することが重要である.
花粉アレルゲンの除去・回避などのセルフケアは,メディカルケアに比べややもすれば軽視されがちだが,感作成立の予防(一次予防)と発症の予防(二次予防)の2つの面から究極の花粉症対策である.
スギ花粉症に対する花粉の回避の重要性が,鼻アレルギー診療ガイドライン1)に,①花粉情報に注意する,②飛散の多いときの外出は控える,③花粉の多いときは窓,戸を閉めておく,④飛散の多いときは外出時にマスク,メガネを使う,⑤表面がけばけばした毛織物などのコートの使用は避ける,⑥帰宅時,衣服や髪をよく払い入室する.洗顔,うがいをし,鼻をかむ,⑦掃除を励行する,などが記載されている.これらの手段をとることで,症状の発現時期を遅くさせたり,軽減させることが可能である.このようなセルフケアを補助するため様々なグッズが市場に供されている.しかし,それらの製品の有効性は十分に実証されているとはいえないものも多く含まれている.日本では約60種の花粉症が報告されているが,スギ花粉症の有病率は約16.2%とされ,非常に多い花粉症であるので,ここではスギ花粉対策用グッズの紹介と得られているエビデンスなどを報告したいと考えている.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.