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Key Questions
Q1:臨床の課題から考える自らのキャリアとは?
Q2:科学的有効性を臨床的有用性にしていく作業とは?
Q3:臨床家としてのありたい姿を追求することによる付帯的な価値とは?
臨床家としてのキャリアの悩み
作業療法士は年々増加の一途をたどっており,その大半は臨床家である1).しかし,臨床家として働く中で「自分はこのまま定年まで臨床家として働き続けるのか?」といった不安や疑問を抱くことがあるのではないだろうか.これらの感情を抱く理由として,臨床が身体的な負担を伴う業務が多い他,日本の社会全体では終身雇用を前提とした働き方の是正が進み従来の積み上げ型のキャリアアップが崩壊しつつあること,個人ではライフステージの変化に伴って臨床での勤務形態に生活様式が合わせられなくなること等が挙げられる.さらに,臨床経験を経るにつれて生じる心理的変化とともに,キャリアのかたちが変化していくことも理由の一つである.先行研究2)では,臨床に従事する看護師の心理的状況を踏まえたキャリア発達の過程を,以下の5つのフェーズに区別している.
Phase Ⅰ:懸命に看護行為を身につけていく時期
Phase Ⅱ:看護に自信をもつがマンネリ感を抱く時期
Phase Ⅲ:看護師としての存在価値が揺らぐ時期
Phase Ⅳ:培ってきた自分の看護を発展させる時期
Phase Ⅴ:自分の看護を展開し,将来像を描く時期
これらの「看護」というワードを「作業療法」に置き換えてみてほしい.臨床家として働く作業療法士が経験年数を経るにつれて感じる心理的な変化とキャリアの変遷に類似していると筆者は受け取れるが,いかがだろうか.第Ⅱ,Ⅲフェーズで示されているように,臨床業務には慣れてきたが,マンネリ感を抱き,作業療法士としての存在価値が揺らぐ時期は,臨床家としてのキャリアのターニングポイントだといえる.
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