広場
Multicontext Approachとは
松原 麻子
1
1広島市立リハビリテーション病院
pp.238-241
発行日 2024年3月15日
Published Date 2024/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203714
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近年,日本の作業療法では,その原点である「作業に焦点を当てた」,「作業に基づく」評価や介入が注目されている.認知機能に対する作業療法では,障害特異的検査や机上課題が用いられることが現在でも多く,この状況は作業療法の歴史の影響が少なからず存在する.Gillenは1),2013年の米国作業療法学会のEleanor Clarke Slagle Lectureで,作業療法における運動制御の訓練と認知機能の評価の歩みを,作業療法の歴史的背景を交えて比較している.それによると,還元主義の影響を受けた1960年代に開始された認知機能の評価は,他職種が作成した評価(障害特異的検査)を用いて開始されたことが示されており,そのことが現在でも作業療法の評価,介入に影響していると考えられている.障害特異的検査は,障害の特性や重症度等の有用な情報が得られるため,その結果を対象者の活動や参加と結びつけることができれば作業療法介入に活かすことができるが,それが不十分であることが多いのが現状だと感じている.そのため,認知機能に対する作業療法においても,「作業に基づく」評価,アプローチを用いることで,より円滑に作業療法を進めることができるのではないかと考えられる.
筆者は2020年にMulticontext Approach(以下,MCアプローチ)を知り,その後MCアプローチに関するセミナーやワークショップに参加した.MCアプローチが日本の作業療法にも有用ではないかと考えたため,紹介させていただく.
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