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Ⅰ.はじめに
ヨーロッパの小国,スロベニア共和国の首都,Ljubljana (リュブリャナ)にあるUniversity Hospital Center の脳神経外科教授であるVinko V. Dolenc がIC-ophthalmic aneurysm のclipping 手術に「Combined epi- and subdural direct approach」を用いた手術手技を報告し1),有名な教科書「Anatomy and Surgery of the Cavernous Sinus」2)を出版して以来,Dolencが用いた手術手技は今や特別な手術手技ではなく,「Dolenc approach」として様々な硬膜内外の病変に対して極めて一般的な手術手技としてどこでも用いられるようになってきた.また,かつては「no man's land」と言われた海綿静脈洞に及ぶ病変に対してもDolenc が明らかにした詳細な解剖学的な検討2,3)から,積極的に手術が試みられるようになった.しかし,海綿静脈洞に浸潤する病変(その典型例は髄膜腫であるが)を積極的に摘出した術後成績,さらにはこうした病変に対する定位的放射線治療の成績が向上してから,現在では海綿静脈洞内の腫瘍性病変に対する積極的な手術に対しては,今,反省期に入っている感がある.しかしながら,「Dolenc approach」を理解することは,海綿静脈洞の解剖,その近傍に存在する病変に対する手術手技を習得するうえで非常に重要であると考えられる.ある意味では,頭蓋底手術の基本が「Dolenc approach」にあるといえる.この手術手技を理解するためには,cadaver dissection による解剖学的な理解が非常に役立つ.そこで,われわれの教室で行っている,若手脳神経外科医のためのcadaver dissection での術野で得られた解剖をもとに,「Dolenc approach」の手術手技について解説したい.なお,手術手技の解説で提示した図のうち,Fig. 1~3までは実際の手術での図を提示し,後の図はcadaver dissectionでの図を提示した.
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