階段昇降への恐怖に対し段階的暴露療法を併用した作業療法実践により目標達成に至った人工膝関節置換術後の事例

Occupational therapy practice combined graded exposure therapy to improve kinesiophobia of climbing stairs after total knee arthroplasty with a case

Abstract：人工膝関節置換術後に階段昇降への恐怖から自己効力感が低下した事例を経験した．カナダ作業遂行測定によって挙げられた目標は階段昇降（重要度 10，遂行度 1，満足度 1）であり，術後の疼痛は徐々に軽減し，階段昇降に必要な筋力や関節可動域が獲得できたにもかかわらず，「退院するには階段昇降が必要ではあるけれど怖い」と恐怖を訴えていた．よって，事例の階段昇降に対する恐怖を克服するために，段階的暴露療法を導入した．その結果，段階的に階段昇降に対する恐怖を克服することで階段昇降が可能となった．それに伴いカナダ作業遂行測定においても，階段昇降が遂行度 9，満足度 10へ向上した．本事例から，恐怖が強く活動制限に至っている事例に対して段階的暴露療法を用いることは，目標達成の促進につながる可能性が示された．