増刊号 急性期における疾患別作業療法
第2章 急性期脳卒中患者に対する作業療法
1 作業療法士が理解すべき急性期脳卒中患者の病態,治療,リスク管理
三原 雅史
1
Masahito Mihara
1
1川崎医科大学
pp.804-809
発行日 2023年7月20日
Published Date 2023/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001203458
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はじめに
脳卒中後に伴う長期臥床は,廃用性筋萎縮や誤嚥性肺炎,深部静脈血栓症等のリスクを増大させ,機能障害および能力障害の改善を阻害すると考えられ,発症早期からリハビリテーション,看護職等を含む多職種によって構成される専門チームによる介入の有効性が報告されてきている1).近年のランダム化比較試験では,発症から24時間以内の超急性期におけるリハビリテーション開始を積極的に支持する知見は得られなかったものの,24〜48時間以内の離床の有効性は明らかとなっており2),本邦における最新のガイドライン3)でも,この時期からのリハビリテーション開始が推奨されている.
このように近年より早期からのリハビリテーション開始の重要性が強調されてきている背景としては,脳卒中発症後急性期においては病状が不安定で,症状の変動を含めた合併症のリスクが高く,安静臥床が推奨されてきたという歴史的な背景がある.つまり,急性期からのリハビリテーション開始を可能とするためには,患者の状態が変化し得るものとして,そのリスクを理解することが重要かつ不可欠となっている.本稿では,急性期脳卒中患者のリハビリテーション施行にあたって,必要となる脳卒中急性期の病態に関する知識,および急性期患者における潜在的なリスクとその対応を中心に概説する.
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