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はじめに
2017年度(平成29年度)の厚生労働省の「患者調査」では,睡眠障害患者の受療総患者数は57万人1)と報告されている.睡眠障害には睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)が存在し,SASの一つである閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS)の日本人における有病率は,男性9%2),女性2.8%3)と報告されている.OSASの潜在患者数は,有病率2,3)と2019年(令和元年)の人口推計から,約720万人と算出される.さらに,SASは死の四重奏(高血圧,高脂血症,肥満,耐糖能異常)と同様に,血管障害を引き起こす独立因子であるとの報告4,5)がされており,死の四重奏にSASを加えた死の五重奏6)というキーワードが提唱されている.SASは,死亡リスクが高いが自覚症状は少ない傾向にあるため,早期発見が求められており,日常生活下での睡眠状態のモニタリングが重要となる.このような背景のもとに,拘束感が低いウェアラブルデバイスの研究が行われている.浦南ら7)の研究では,頸部皮膚表面に装着した南豆無線電機社製のSH-12jK咽喉マイク(図 1d)を用いて口腔咽喉音より気流量を推定し,無呼吸・低呼吸の検出が行われている.しかし,咽喉マイク計測では数値が大きいほど信号成分が多いことを表す信号雑音比(以下,SN比)が小さく,実際に計測した際には体動雑音等により低呼吸の検出が困難である場合が存在した.そこで本研究では,SN比向上により動作時でも呼吸モニタリングが可能となると考え,SN比を向上させた高感度集音デバイスの開発を行った.本稿ではSN比の高い集音デバイスの作製,作製したデバイスと先行研究にて用いられている咽喉マイクとの比較結果について述べる.
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