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はじめに
旅は人間にとっても社会にとっても大切なものである.
誰しも心に残る旅が一つはあるのではないだろうか.行き先や目的,誰と行くか,楽しみ方は人それぞれである.しかし,残念ながら加齢とともに身体が不自由になり,思うように旅行ができなくなるのも事実である.
行く先が遠くて無理,必ず誰か付き添いがなくてはいけない,現在の足の状態では不安,行きたい気分にならない,具合が悪くなったら周りに迷惑をかけるのが申しわけない.このように考える被介護者は少なくない.
介護が必要ないように予防する「介護予防」という言葉は非常に魅力的であり,いつまでも自立した生活を継続したいという高齢者の願いとも一致する.しかしそれをどのように具体化するのかについて,そもそも介護予防が可能かという原理的な部分も含めて,大変難しい課題である.個々人の多様化した介助要因の中で,何を改善点として実施するのかが問題となる.
COVID-19は世界を一変させた.
移動制限やソーシャルディスタンス,衛生管理等……老若男女を問わず,制限とルールが課せられた.ただ一方で,COVID-19はオンライン活用の流れを加速させている.
会社には通勤せず自宅でリモートワークをしたり,友人等とZoom飲みをした方も多いのではないだろうか.新たにデジタル庁が設立され,インフラ整備も進められている.
国内における情報通信技術の急拡大が想定される中,福祉業界では長らく先送りにされていたオンライン導入が加速し,業務の効率化が望まれる.これまで福祉施設で課題となっていたケアの多様性にも大きな進歩があることを期待している.また再び自由な移動環境になった際には,旅行にも大きな変化が訪れるだろう.
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