リカバリーショット 後編
新しいことへのチャレンジ
曽我部 道弘
pp.1416-1417
発行日 2021年11月15日
Published Date 2021/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202778
- 有料閲覧
- 文献概要
ALSという病名が確定して約1年ほどたったころ,次第に自力での呼吸が困難になったため,気管切開の手術を行い,人工呼吸器を装着しました.そして,気管切開をしてから現在まで1年半が経ちました.手術前に比べると病気の進行はだいぶ緩やかになったように感じますが,それでも身体を動かせる部分は徐々に減っていき,今では首から下では右手の親指を少し動かせる程度,食べ物の飲み込みはまだ可能ですが,口も指1本分程度しか開かなくなるまで症状は進行しました.そんな中でも自宅での療養生活にも慣れ,ある程度余裕も出てきたため,この春から2つの新しいことへの挑戦を始めました.
一つめはプールに通いはじめました.もともと海の近くで生まれ育ち,幼少期から泳ぐことが大好きだったので,病気になる前は娘が小さいころから海やプールによく一緒に通っていました.病気になって車いすが必要な身体になってからも,シャワーキャリーのままプールに出入りできる施設を見つけ,リハビリとリラクセーションを兼ねて通おうと画策していました.そのときは,すぐに気管切開が必要となったため,残念ながら実行することができませんでしたが,そのときの私の思いを妻は覚えていてくれ,気管切開をして呼吸器を装着している状態でも受け入れてくれるプール施設を新たに探してくれました.もちろん,手も足も動かせず呼吸器も手放せない今の私の身体の状態だと,安易にトライするのはリスクもありますので,施設のスタッフにもお会いして身体の状態を確認してもらい,気管切開部のケア等,往診の先生や訪問リハさんにもアドバイスをもらいながら実施しました.
Copyright © 2021, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.