増刊号 脳卒中の作業療法 最前線
第1章 総論
3 脳卒中を取り巻く社会保障制度—リハビリテーションに関連する医療保険・介護保険制度を中心に
髙島 千敬
1
Kazunori Takashima
1
1広島都市学園大学
pp.740-746
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202597
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はじめに
わが国は国民皆保険制度を導入しており,諸外国と比較して脳卒中後のリハを手厚く実施できる環境にある.しかしながら,年間の医療費が40兆円を超える現在,総医療費に占めるリハ料の比率は高齢化とともに増加し,現在は5〜6%で推移している.金額にして2兆円超に相当する.
このような状況にあって,効果的,効率的なリハの提供が求められており,その影響は回復期リハ病棟における実績指数の導入にも反映されている.また,疾患別リハ料には,標準算定日数が設けられており,脳血管疾患等リハビリテーション料では180日が上限とされている.一方で介護報酬は,介護度に応じて,サービスを組み合わせて利用する等,幅広く対応できるシステムとなっている.ただし,若年発症者においては「障害者総合支援法」の活用を視野に入れなければならない.
以上のように,脳卒中には,病期により,さまざまな社会保障制度を利用してその支援が行われる(図 1).本稿では,医療・介護現場で必要とされる基本的な社会保障制度について解説する.
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