特集 作業療法士の働き方カタログ
作業療法士のキャリアデザインを考える
遠藤 千冬
1
Chifuyu Endo
1
1一般社団法人日本作業療法士協会
pp.634-635
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202561
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なぜ働き方を考えるのか
2018年(平成30年)6月29日に「働き方改革」を推進するための法律(働き方改革関連法)が成立し,同年7月6日に公布された.この法律は労働基準法,労働安全衛生法等,労働に関する8つの法律を束ねたもので,改革の背景には,わが国が,少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少,育児や介護との両立等,働く人のニーズの多様化等の状況に直面しており,投資やイノベーションによる生産性向上とともに,就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境をつくることが重要な課題となっていることがあると説明された.
そこから遡ること2年,2016年(平成28年)秋に出版されベストセラーとなった『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)—100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)1)において,著者のリンダ・グラットンとアンドリュー・スコットは人類が初めて経験する「人生100年時代」を生き抜くヒントを記した.これまで多くの人々は「教育→仕事→引退」という3ステージの人生を歩んできた.しかし,寿命が延び健康的に若々しく生きる年数が長くなれば,70代,80代まで働くことがあたり前になる.人生における仕事の期間が長期化することで,ステージの移行を数多く経験する「マルチステージ」の人生に突入する.仕事→教育→別の仕事ということもあるだろうし,異なる種類の仕事や活動に同時並行で携わることもあるだろう.画一的な生き方にとらわれず,生涯「変身」を続ける覚悟が問われる—といった内容だ.
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