認知症と仏教・第3回
物語を生きる
日髙 明
1,2
1NPO法人リライフむつみ庵
2相愛大学
pp.272-273
発行日 2020年3月15日
Published Date 2020/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202035
- 有料閲覧
- 文献概要
作話もセルフイメージも物語である
作話は認知症高齢者にしばしばみられる周辺症状である.事実とは異なることが,さも本当かのように語られる.事情を知らなければ,作話だとは気づかないほど巧みな内容や語り口で,スタッフは舌を巻く.
入居者のアサイさんは,盆や正月,彼岸の日が近づくと,「(家族の)迎えが来るからね」と他の人に話している.実際にご家族が来所して外出することもあるが,ご家族が来ないまま期待した日を過ぎることもある.そんなとき,アサイさんは残念そうにするでもなく,「事実」を創り出して説明するのだ.
Copyright © 2020, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.