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特集 作業療法士による看取り
最期までよりよい作業的存在であり続けることを支える作業療法
Occupational therapy supporting clients to keep being occupational-beings until the last moment of life
三木 恵美
1
Emi Miki
1
1広島大学大学院
pp.239-242
発行日 2020年3月15日
Published Date 2020/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202028
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Key Questions
Q1:作業療法の哲学とは?
Q2:看取り期の作業療法とは?
Q3:作業によるグリーフワークとは?
はじめに
看取りの時期にOTに何ができるのか? こうした疑問は,他職種からだけでなく,OTからも聞かれる.看取り期に介入しているOTですら,自分がしていることは果たして作業療法といえるのか,自信がもてず悩むことが少なくない.
多くの患者は亡くなる1カ月前になると急激にADL能力が低下するため1),ADLの維持を目標にすると,OTは無力だと感じる.緩和ケアは,生命を脅かす病の患者とその家族のQOL向上を目指したアプローチ2)である.緩和ケアチームの一員として,OTもQOLの向上を目指す.しかし,QOLは複数の要素から構成される多次元的な概念であるため,作業療法のアウトカムをQOLに設定すると,作業療法の目的は焦点化されにくい.また,可能なかぎり高いQOLを維持できるようアプローチしていても,看取りの時期の患者・家族の心身のストレスは大きく,QOLは少なからず低下する.それでは,看取り期の作業療法は,何を目指してアプローチをしているのだろうか.そしてOTとしての専門性はどのように発揮されているのだろうか.
OTが技術職ではなく専門職であるためには,技術と哲学の両方が必要といわれる3).本稿では,作業療法の哲学や理論に焦点を当てて,看取り期の作業療法アプローチや専門性について考えたい.
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