増刊号 発達障害の作業療法
第2章 発達障害の支援と作業療法—幼児期から青年期・成人まで
14 —恋愛・結婚—人とのつきあい—親・家族③—発達障害児・者の性発達と性教育
宮原 春美
1
Harumi Miyahara
1
1長崎大学
pp.809-812
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201383
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発達障害児・者の性的発達や性行動について,性的欲求が強い,性的問題行動が多い等といわれることがあるが,果たしてそうであろうか.確かに二次性徴を受け入れられない,人前で性器を触る等の不適切な性行動がみられることもあるが,発達障害児・者の性的欲求が強い,性的問題行動が強いという根拠はどこにもなく,障害特性から彼らの性的行動を理解することが必要である.
一つには彼らの対人関係能力,コミュニケーション能力の低さからくる,性的表現方法のまずさが性的問題行動につながりやすいといえる.性的場面には微妙な人間関係を求められることがあるが,彼らはストレートに行動することが多いため誤解を招きやすく,性的ニーズは有していても,マナーやエチケット,ルールといった目に見えない抽象概念や暗黙の了解を理解するのはさらに困難である.また性に関する事柄は学校教育の中でも学ぶが,多くは仲間同士で伝え合い,確認するのも事実であり,発達障害児・者が仲間との会話の中で自然に性について学んでいくのには多くの困難があると考える.そして「性教育をすることは寝た子を起こすことになる」といわれるが,現代社会はインターネットをはじめとした性に関する情報があふれるばかりの状況であり,彼らがその情報を取捨選択するのも非常に困難である.
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