特別寄稿
障害者の「結婚と性と生」
長田 静子
1
1ひまわりの会
pp.148-152
発行日 1988年2月25日
Published Date 1988/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207323
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はじめに
社会参加を目的の1つとして活動してきた私たちが,自らの体験と考えを本気で語り綴った,重度障害を有する人とボランティアの連帯の会・ひまわりの会の小冊子「障害者の結婚と性と生とは」が様々な人の目にふれるようになってから,そのテーマには私たちが思いもしなかった問題が含まれていることに驚かされた。私たちは,それぞれが今まで生きてきたなかで,悩み,あきらめを強いられ,うっせきしていたものを,仲間同士で思いきって話してみたものをまとめただけのことだと思っていた。しかし,この小冊子を作るに当たって,あまりにもショッキングなもの,赤裸々な内容ば意識して書かなかった。というよりも,書けなかったというほうが正直であるかも知れない。既成の価値観を是としていただけでは人も社会も変わらない,今までの観念を変えるためには,自らの経験を語ることから始めなくてはと思いながらも,やはり,世間の好奇の目にさらされることを恐れたからだった。
しかし,1昨年と昨年,ひまわりの会で継続して開催した「いのち,家族,高齢化社会を考えるゼミナール」(茅野市公民館と共催)や電話などを通じて会員に伝えられ,訴えられた内容は,聞きながすことのできない事柄が多いことにも驚かされた。耳を疑いたくなるような話が実名で訴えられたりもする。彼らの妄想であるとして片づけることのできないものが感じとれる。
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