提言
OTがつくり出す人とひとのつながり
上遠野 純子
1
Junko Katono
1
1東北保健医療専門学校
pp.4-5
発行日 2018年1月15日
Published Date 2018/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001201150
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はじめに
東日本大震災後,私には,ずっと探し続けていた家族がいた.その家族は陸前高田市に住む,私が病院勤務時代に担当した元患者さんとそのご家族であった.患者さんは当時4歳で,ウィルソン-ミキティ症候群であった.極低出生体重で生まれたこともあり,体が歴年齢より大変小さく,当時持続的酸素投与も行っていた.就学前の内科的なチェックと,特に遅れがみられていた運動発達の促進がその入院目的であった.愛くるしい表情を周りのスタッフに見せる,利発な男の子であった.退院後陸前高田市に戻ってからも,患者さんのお母さんと文通が続き,本当に小さかった男の子の小学校入学が無事果たされたこと,またその後も年賀状のやり取りでは写真を載せてくださり,遠くにいながらも,患者さんであった男の子の成長を共に感じさせていただいた.しかしながら,あの未曾有の災害でご家族との連絡が突然途絶えた.この7年間,かの地に出向いても捜すすべもなく,海に向かって手を合わせることしかできなかった.震災前の住所から,ご家族が住んでいた地域には,もう1件も家が建ってはいなかったからだ.
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