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Key Questions
Q1:目標の連鎖とは?
Q2:コンピテンシーとは?
Q3:総括的評価は何に対して行われるか?
はじめに
教育は「目標の連鎖」の中で実践されるべきだと考える.すなわち,各学部・学科の目標や各教職員個々の目標を,学校という組織全体の教育目標と関連づけて設定することで,個々の能力を活かしつつ,その取り組みを一定の方向に整えるのである.
各大学はその設立目的である「建学の精神」を示している.これは学内的に大きな意味をもつものであり,関係者の帰属意識のコアとなるものである.この建学の精神を体現するために,各校独自の「教育理念」や「教育目標」を設定する.
たとえば本学は,「常に相手の立場に立ち,真心をもって尽くす」という意味の「至誠一貫」を建学の精神とし,「医療を通じて社会に貢献できる人物を育てる」ことを使命としている.
これらを基盤として「それぞれの専門職にふさわしい,人間性豊かな医療を実践できるような高い倫理性と豊かな社会性を備え,生涯にわたって学習・研究を怠らず,医療の向上に邁進する,真の医療人足り得る資質を磨き上げる」というのが本学の教育理念である.
大学全体の教育理念に基づき,各学部および学科の教育理念(目標)は設定される.本学保健医療学部の教育目標は「真心と情熱をもって保健医療学,特に看護学,理学療法学,作業療法学を通し,保健医療の発展と国民の健康・福祉に寄与する優れた人材を育成する」である.これらの目標を受け,保健医療学部として,ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針・卒業時の達成目標),カリキュラムポリシー(教育課程編成,実施の方針),そしてアドミッションポリシー(入学者受け入れの方針)を示している.本学保健医療学部のディプロマ・ポリシーを表1に示す.
上記のような「目標の連鎖」を踏まえ,作業療法学科では具体的なカリキュラムを構成し,各科目のシラバスを示し,日々教育を実践している.以下,その検討内容や取り組みを報告する.OT養成教育は学内教育と臨床実習によって成り立っており,両者の関連性を抜きにしてカリキュラムの構築は不十分だといえる.本学作業療法学科はこの両者の検討をしており,本来は双方の報告をするべきであるが,紙幅の都合上,学内教育,特に初年次の取り組みを中心に報告することとした.入学してきた学生は,必ずしもOTに就くという明確な目的をもつ学生だけではない.他の職種を目指す学生たちと寝食を共にする中で,自身の進路が揺らぐ学生もいる.初年次の学内教育を中心に扱うのは,そのような学生に対して,OTという仕事の社会的意義や作業療法的思考の奥深さ,実践のユニークさをいかに伝えるかが重要であると考えたためでもある.臨床実習に関する内容は後出の報告を参考にしていただきたい.
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