学会・研修会印象記
神経行動作業療法学会第1回学術集会
鍵野 将平
1
1琴の浦リハビリテーションセンター
pp.1324
発行日 2016年11月15日
Published Date 2016/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200770
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2016年(平成28年)7月31日,藍野大学にて神経行動作業療法学会の第1回学術集会が開催されました.“神経行動作業療法学ってなんやねん?”そんな方も多いのではないでしょうか.神経行動作業療法学とは,中枢神経疾患により生じる生活障害を対象として,神経行動科学〔神経(脳)生理学,神経心理学,神経行動学,行動神経科学等〕の観点から生活障害の原因を読み解くことです.たとえば,トイレ動作がうまくできないのはなぜなのか? それをまずは細かく作業分析して問題となる項目を抽出し,その項目を神経科学的に読み解き,原因を明らかにすることです.そして,そこから適切な介入戦略を提案します.そういった生活障害を分析するための評価技法や介入戦略の開発と効果判定を行い,データを蓄積するために本研究会が設立されました.
第1回目の開催ですが,講演される先生が豪華キャストということもあり,会場は大賑わいでした.教育セミナーでは大会長の酒井 浩先生(藍野大学)より,生活障害に対して先生が頭の中でどう推論を立てるかをのぞいているような,またこの会の考え方を丁寧に紐解いていくような講義を聴講することができ,すばらしい会の幕開けとなりました.京都大学の村井俊哉先生による特別講演では「推論には《事実重視》と《思い切った解釈》のバランスが重要」と言われていたことが,心に残りました.シンポジウムでは,先に述べたお2人の先生と広島大学の宮口英樹先生,名古屋大学の千島 亮先生が登壇し,A-ONEの紹介やOTの教育システムの課題等,今後の作業療法の方向性や可能性をさまざまな視点からお話しくださいました.
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