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1.はじめに
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の救援活動の経験を踏まえ、災害時における看護の実践活動や災害看護学の教育・研究に関する発表の場として日本災害看護学会が1998年12月に発足した。今日まで、日本災害看護学会は国内のみならず、世界に向けて災害看護の知識や実践について多くのことを発信してきた。災害が多発する昨今、世界規模での災害看護の学会の必要性が強く認識され、日本災害看護学会の発足から10年後の2008年1月21日に世界災害看護学会〔WorldSociety of Disaster Nursing(WSDN)〕が設立された。
WSDNの目的は、災害看護に関する国際的な学術交流と共同研究を促進し、災害看護の知識と実践の体系化を通じて人々の健康と福祉に貢献することである。WSDNは、この目的を遂行するために1)学術集会を行うこと、2)国際的な共同研究を促進すること、3)災害看護の国内および国際ネットワークを発展させることといった事業を企画し実行するものである。WSDNの設立目的を遂行するために、第1回世界災害看護学会学術集会(以下、本大会という)を日本で開催することが発起人会において決定された。
本大会は世界で初めての災害看護に関する国際学会で、2010年1月9日、10日の2日間にわたって神戸国際会議場において開催された。本大会の主催は日本災害看護学会で、大会長は南裕子近大姫路大学学長が勤め、事務局は近大姫路大学看護学部が担った。
近年、我々は世界のあちこちで頻繁に災害が起こっているのを目の当たりにしている。昨年の5月には新型インフルエンザの脅威が世界中を席巻した。今年になってからは、1月12日にハイチで、2月27日にはチリで相次いで大きな地震が発生し、多くの死者と被害が出た。災害はいつ起こるかわからず、ひとたび発生すると人々の健康や生活に多大なダメージを与える。世界規模での災害看護に関する研究、教育、実践活動の発表の場として、災害看護のネットワークを構築するきっかけとして本大会は大きな意義があったと思う。また、本大会が阪神・淡路大震災から15年という節目の年に神戸の地で開催できたことは災害看護の重要性を再認識し、更なる発展を誓い合う貴重な機会となった。
本稿では、本大会の内容と本大会から見えてきた災害看護の今後の課題について報告する。
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