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Key Questions
Q1:高齢肺炎患者の病態は?
Q2:高齢肺炎患者に対する作業療法の役割とは?
Q3:高齢肺炎患者の退院支援とは?
はじめに
2011年(平成23年),本邦で長く3大死因であり続けた脳血管疾患,悪性新生物,心疾患のうち,脳血管疾患を抜いて肺炎が死因第3位となった.肺炎による死亡の約95%が65歳以上の高齢者であり,肺炎による死亡の増加は高齢者人口の増加のためと考えられており1,2),高齢化に伴い肺炎による入院患者がさらに増加することが予想される.高齢肺炎患者は呼吸器疾患,心不全,腎不全,脳梗塞後遺症等,多彩な基礎疾患を有し,疼痛や発熱等の症状が乏しく,抗菌薬を投与しても治癒が遷延しやすく,重症化しやすい3).入院や抗菌薬治療は延命効果と急性期の症状緩和効果があるが,突然の環境変化や症状によるストレスによりせん妄症状を引き起こし,臥床状態を強いられることでADLの低下を招く.以上のような点から,高齢肺炎患者は入院加療により,ADLだけでなく長期QOLが悪化しやすい.作業療法が急性期から退院後の生活を想定するとともに,生活者としての回復を促進し,退院後のQOLを高めるために介入する意義は非常に大きいと考える.
芳珠記念病院(以下,当院)は石川県能美市にある,320床のうち82床の地域包括ケア病棟を有する地域密着型のケアミックス病院である.高度急性期から慢性期まで,地域から患者を受け入れており,高齢肺炎患者に介入する機会も増加している.当院のリハ処方数も,骨折,がんに次いで肺炎が第3位となっている.今回,当院の高齢肺炎患者に対する急性期から在宅復帰までの作業療法について紹介し,肺炎治療におけるOTの役割を考えていきたい.
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