- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
アルツハイマー型認知症(AD)は,認知症疾患の中でも半数以上(55〜70%)を占める最も多い疾患である.性別では女性に多い.初期(40〜50代)にアミロイドβ(Aβ)タンパク(老人斑),その後10数年の時を経てタウタンパク(神経原線維変化)が大脳皮質に蓄積し,シナプスの減少,神経細胞死そして脳萎縮をきたし,認知症の症状を呈する進行性の脳疾患である.2013年(平成25年)6月,厚生労働省研究班(代表者:朝田隆筑波大教授)の調査で発表された推計値は,2012年(平成24年)時点で約462万人(15%)にも上り,MCI(軽度認知障害)と呼ばれる「認知症予備群」が約400万人いることが公表された.このため,2013年より世界一高齢化の進んだわが国でも認知症対策を国家戦略,オレンジプランを始動させ,さらに2015年(平成27年)より新オレンジプランとして対応するようになった.認知症対策を国家戦略としている国は2001年のフランスをはじめ,オランダ,オーストラリア,英国,デンマーク,米国等で,世界認知症サミットが2013年12月11日に英国のロンドンで初めて開催され,2014年(平成26年)には後継イベントが東京で開催された.日本作業療法士協会もオレンジプランの初期集中支援チームに積極的に参加している.
ADの診断と治療の前提として,まず,本人を知ること,高齢者の心理を知ることが大切である.特に,BPSDの原因を探るうえでも,治療,リハ,ケアを始めるにも欠かせない情報である.診断の基本は問診,認知機能検査,画像診断および診察(身体所見,神経学的所見,血液・尿検査等)である.以下,ADにポイントとなる問診,心理検査,画像診断,診察,治療の順で説明していく.
Copyright © 2015, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.