巻頭言
新年に思う
秋元 波留夫
1
1国立武蔵療養所
pp.2-3
発行日 1974年1月15日
Published Date 1974/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202124
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このところ,段々ひどくなっている精神科医療のどろ沼のような状態に,はたして今年は明るい光がさしこむだろうか。今年もまたどうにもならなかったという嘆きが避けがたいとしても,一人の精神科医として,精神科医療のかかえている難問がいくらかでも打開のいと口を見いだすことを願って新年の所感を記すことにする。
まず私自身の身辺から話をはじめよう。長い大学での生活を離れて,国立武蔵療養所に移って8年になる。この間に,大学に居た時に考えていた国立医療機関のあるべき姿と国立武蔵療養所との間の大きなギャップをいつも思い知らされながら,すこしでも良い医療ができるようにして,患者と家族に喜こんでもらえる病院にしたいと願いつづけてきた。
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