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去る2013年11月29日に盛岡市の盛岡グランドホテルを会場に第16回岩手リハビリテーション連携フォーラムが開催されました.本会は主に脳血管疾患に代表される中枢神経系のリハを対象とし,岩手県内の急性期,回復期,生活期のリハにかかわる医師,看護師,PT,OT,ST,MSWや臨床心理士等の多くの職種が一堂に会し,リハにおける連携を意識した研修会です.年に2回開催され,毎回設定されたテーマに沿って症例検討やパネルディスカッションの形式で,多職種での積極的な意見交換が行われています.広大な面積をもつ岩手県においては,県庁所在地の盛岡市を中心とした県央部に回復期リハを担う病院が集中しているのが特徴です.そのため県内各地の急性期医療から県央部の回復期リハ病棟への転院,加療する状況が多くみられ,急性期,回復期間の連携が課題となっています.このような現状の中,リハにかかわる多くの職種が情報収集,意見交換できる本会は岩手県内のリハ連携を強化する貴重な機会となっています.
今回は「摂食嚥下障害のリハビリテーション」をテーマとしてパネルディスカッション形式で4題の発表が行われました.私は環境調整を行うことで食事自立に至った高次脳機能障害の症例について,当院における回復期病棟での取り組みを交えつつSTと共同で演題発表をさせていただく機会を得ました.目の前で起こる事象に対し,チーム内で日々議論を交わしていく中で,同じゴールを目指していても職種が違うと視点が異なること,そして解釈の仕方が何通りもあり,その情報を統合し治療プログラムが変化していくことにあらためて気づきました.また,より「その人らしさ」とは何か? チームの中でOTにしかできないことは何か? と考える機会が増え,OTとしてのアイデンティティについて考える機会も多くなりました.今は教科書や文献が手を伸ばせば届くところにたくさんありますが,臨床では膨大な情報の中に溺れてしまうような感覚に陥ることがあります.そのような際に必要な情報を取捨選択するためにも,同じOTの意見はもちろん,他職種との連携も同様に大切であることを再認識しました.
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