特集 OTの臨床実践に役立つ理論と技術―概念から各種応用まで
第4章:内部障害に関するもの
2.心臓リハビリテーション
髙島 千敬
1
1大阪大学医学部附属病院リハビリテーション部
pp.729-735
発行日 2013年6月20日
Published Date 2013/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100185
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はじめに
心臓リハビリテーションの定義は,古くは1964年(昭和39年)の世界保健機構(World Health Organization)の定義において,正常な地位(職業)を回復し,活動的に暮らすことを目標に,可能なかぎり良好な身体機能,精神機能,社会的状態を図ることであると示されている1).当時から,身体機能のみならず,精神機能や社会復帰について言及されていることには驚かされる.
現在では,1995年(平成7年)に米国公衆衛生局(United States Public Health Service)の定義が用いられることが多いが,ここでは①医学的評価,②運動処方,③冠危険因子の是正,④教育およびカウンセリングから構成され,突然死や再梗塞のリスクを軽減させ,長期的な予後の改善についても述べられている2).
わが国においてもこの定義に基づき,心臓リハビリテーションの普及促進が図られている.2006年(平成18年)の疾患別リハビリテーションの導入により,医療現場では疾患ごとの医学的対応に終始している傾向があるが,この定義をあらためて読み直すことで,心疾患患者のそれぞれの立場における役割の再獲得が,われわれの重要な役割であることが確認できる.
本稿では,心臓リハビリテーションの実際や作業療法の果たす役割について解説し,今後の展望に関しても述べる.
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