BOOK WATCHING
どうして弾けなくなるの? 〈音楽家のジストニア〉の正しい知識のために
田中 順子
1
1川崎医療福祉大学
pp.548
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100146
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
音楽家特有の局所性ジストニアが初めて論述されたのは,1883年にまでさかのぼる.その後,神経学を中心に研究が進められてはきたものの,現在でも臨床家や音楽家における認知度は決して高いとはいえない.音楽家専門外来を備えた病院も稀少なわが国においては,この病の認知度はさらに低い.その発症率は,最近の報告によるとプロの演奏家の実に5%にも及び,そのうちの半数は演奏家としての人生をあきらめなければいけないという.
この看過できない障害について,18年以上かけて250名に及ぶ臨床データをもとにまとめられた,集大成ともいえるべきものが本書である.編著者のジャウメ・ロセー(医師)とシルビア・ファブレガス(PT)は,スペインの音楽家専門治療施設「テラッサ芸術医学生理学研究所」を設立し,ジストニアの研究に邁進してきた臨床家であり研究者である.
Copyright © 2013, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.