連載 わかろう! 知ろう! 楽しもう! スプリントのつくりかたPart 2・第9回
発達障害領域のスプリント②―重症心身障害児(者)にスプリントをつくる
小玉 武志
1
,
中村 裕二
2
,
高橋 奈津美
1
,
佐藤 匠
1
,
三谷 紘世
1
,
仙石 泰仁
2
Takeshi KODAMA
1
,
Yuji NAKAMURA
2
,
Natsumi TAKAHASHI
1
,
Takumi SATO
1
,
Hiroyo MITANI
1
,
Yasuhito SENGOKU
2
1済生会西小樽病院・重症心身障害児(者)施設みどりの里
2札幌医科大学保健医療学部
pp.261-266
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100072
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はじめに
重症心身障害児・者(以下 重症児・者)の多くは,主疾患として脳性麻痺を呈している.一般的に,脳性麻痺児・者に対するスプリント作製の目的には,関節拘縮の予防や痙性の減弱,巧緻性トレーニングの補助手段等が挙げられる1).しかし,生態学的な根拠として,長期のゆっくりとした伸張を加えることで軟部組織の適応性のある変化を引き出すとされているものの,スプリントが脳性麻痺児・者の関節可動域を増大できるといった報告はわずかしかみられない2).また,装着時間については,間欠的な装着を維持すべきであり,長時間の装着後では,痙性が増大する可能性があるとされている3).特に重症児・者の場合,重度に変形した上肢に加え,てんかん発作が生じたときの予期せぬ過緊張による骨折リスク,接触部の発赤や褥瘡リスク,装着に対する心理的不安等も心配されるため,スプリントの使用は慎重にならざるを得ない.
当施設では,このような背景を考慮しつつも,若干名に対して主に手指の握り込みを減弱させることを目的にスプリント作製を実施してきた.決して特別なスプリントを作製したわけではないが,日常生活の中でいくつかの変化が生じた事例を経験している.日常的に重症児・者と接しているセラピストにとって,スプリントの作製を検討するうえでの一資料となることを期待し,当施設での作製例について紹介する.
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