連載 わかろう! 知ろう! 楽しもう! スプリントのつくりかたPart 2・第8回
発達障害領域のスプリント①―整形外科疾患
鴨下 賢一
1
Kenichi KAMOSHITA
1
1静岡県立こども病院
pp.167-170
発行日 2013年2月15日
Published Date 2013/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100049
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はじめに
先日ある青年から,「就職できたので,挨拶に行きたい」と連絡が入った.この青年は先天性多発性関節症の方であり,20年前に筆者が手関節背屈保持目的のスプリントを作製していた.母親は,このスプリントがあったから今があり,困難なことがあるたびにこのスプリントを青年に見せて励ましてこられたとのことであった.訪問時にそのスプリントを見せていただいた(図1).非常に拙劣なできではあったが,青年の人生に少しでも関わることができたと思うととても嬉しくなった.
発達領域のスプリント作製の特徴としては,成人と違って,年齢が低いほどに採寸や採型する際に思うように協力が得られないことがある.そして,手が小さいことで,より困難さを増していく.また,矯正目的のスプリントの場合には,採寸や採型の困難さだけではなく,その装着への嫌がり等が認められることがほとんどなので,ただ作製すればよいのではなく,養育者への指導も重要になってくる.このような困難さが多いために,養成校卒業後に一度もスプリントを作製したことのないOTが増えているのだと考えられる.本稿では,発達障害領域の整形疾患に対して作製することの多い矯正目的と機能肢位保持目的の,OTが容易に作製することのできるスプリントを紹介する.これを機会に臨床に生かすスプリントを作製していただきたいと思う.
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