特集 作業療法における作品づくりの意味
コラム
青い鳥の絵がくれたもの
田中 由紀子
,
すずな
pp.139
発行日 2013年2月15日
Published Date 2013/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100038
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すずなは16歳の脳性麻痺の女の子です.一卵性の双子でしたが,助かったのは,すずなだけでした.生まれたころはいろいろありましたが,幸い早くから療育を受けることもでき,肢体不自由の特別支援学校に通ってもう10年,たくさんの先生方のおかげで,訓練や学校が大好きな子に育ちました.家では2つ年上のお姉ちゃんやお父さんも可愛がってくれています.
小さいころは,診察のたびに「丸く抱っこしてくださいね」と言われるほど,反り返りが強く,抱っこするのも大変でした.首もグラグラしてバギーや座位保持いすに座らせるのも難しかったです.そのため訓練では,首にタオルを巻いたり,サポートする装具をつけたりして,しっかり座れるようにいろいろと考えてもらいました.そのおかげで,少しずつ椅子に座ってキーボードを弾いたり,おもちゃのスイッチを押したりして,遊ぶことができるようになりました.すずなは,このころから自分の手で何かをする楽しさを覚えたのだと思います.そして,「やりたい」という気持ちも出すようになってきたと思います.姿勢も徐々に落ち着いて,手も少しずつ上手に動かせるようになったころからぬり絵をしたり,クレヨンで絵を描いたりしました.
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