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編集後記
小澤 壯治
pp.664-665
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426100281
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1990年代に本邦で内視鏡外科が導入されて以来,さまざまな疾患に対して内視鏡外科手術が行われるようになってきた.本号には「内視鏡外科手術に関するアンケート調査―第9回集計結果報告」が掲載されているが,実施件数の増加は本手術が標準手術のひとつとして認識されつつあることを意味している.このように内視鏡外科手術が普及していく過程で,外科系の医師が開胸や開腹などの従来の手術に加えて内視鏡外科手術を習得するために,さまざまな方法が採用されてきた.特に,内視鏡下手術ではビデオ画像が残るため,われわれはそれを教材として講習会で説明を受けたり,自習することが可能である.
私は,専門家の講義や全身麻酔下のブタを用いた実習から構成される食道疾患の内視鏡下手術講習会のお手伝いをしている.当然のことながら,基本的手術手技の修練には動物実習は優れているが,ブタとヒトでは細かい解剖が異なるため,ヒトの場合には癌手術に不可欠なリンパ節郭清などの手技や,術野展開法などに工夫がいる.参加した先生からは,実技講習会は確かに役に立つが,手術室で実際に手術見学をしたり,指導者による直接指導を希望したいという感想をいただいている.いわゆるハイテク教育環境が整っても,最後は人と人が近距離で手術を指導すること,すなわち直接的なコミュニケーションが一番求められている.それは感動を伝えられるからである.
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