特集 大腸癌に対する腹腔鏡下手術のcontroversy
コメント:気腹法か腹壁吊り上げ法か?
万代 恭嗣
1
1東京大学医学部第2外科
pp.44-45
発行日 1996年2月15日
Published Date 1996/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4425900007
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はじめに
すでに,腹腔鏡下に行ういくつかの術式が保険適用となり,早期癌に限られるものの悪性腫瘍に対する応用が普及する素地ができあがってきた.医学的な適応を確立し,治療成績を出すべく内視鏡下外科医の努力が続けられている.腹腔鏡下に行う大腸癌切除術もその1つであるが,この術式を施行するにあたって,腹腔鏡下胆嚢摘出術においてと同様の視野確保の方法が議論の対象となっている.すなわち,この手技を気腹下に行うか,腹壁吊り上げ方式で行うかの議論である.癌を対象とした手術では郭清操作を伴うため,両者の得失を議論する場合には,病変の部位的特殊性や郭清範囲を含めた議論が当然必要となる.
本稿では,現時点において使用できる機器類や手技的到達点を踏まえて,気腹法と腹壁吊り上げ法の利点や問題点につきコメントしたい.
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