特集2 ERスタンダード 外傷—非外傷医でも,ここまで迫れる! ここまでできる!
【Part 2】モヤモヤ事へのアプローチ
6.輸血戦略を整理する!—最新エビデンスからMTP導入を支える体制まで
青木 誠
1,2
Makoto AOKI
1,2
1前橋赤十字病院 高度救命救急センター
2防衛医科大学校防衛医学研究センター 外傷研究部門
pp.442-451
発行日 2024年1月25日
Published Date 2024/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3105200111
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
外傷死の主たる原因は出血性ショックとされ,蘇生治療の根幹の1つには輸血治療がある。日本では輸血製剤として濃厚赤血球(RBC),新鮮凍結血漿(FFP),濃厚血小板(PC)が実臨床で使用され,おそらくは施設ごとに出血性ショック患者に対してMTP(massive transfusion protocol)が実践されている。
外傷診療・外傷研究の中心である米国では,輸血開始のタイミングについては病院前輸血の研究も報告されてきており,輸血製剤の種類については全血製剤の有効性が続々と報告されるとともに,無作為化比較試験(RCT)も実施されている。
本稿ではMTPと凝固線溶機能の適正化に焦点を当てて輸血戦略を整理しつつ,輸血開始のタイミング,輸血製剤の種類など最新のエビデンスを概説する。最後に,筆者の施設での事例としてMTP導入を支えるシステムについても紹介したい。
Copyright © 2024, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.