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特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅳ.臨床応用薬
パーキンソンニズム誘発剤(MTPT)
Parkinsonism-inducing agent (MTPT)
直井 信
1
,
永津 俊治
2
Makoto Naoi
1
,
Toshiharu Nagatsu
2
1名古屋工業大学工学部保健体育教室
2藤田学園保健衛生大学総合医科学研究所
pp.540-541
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900288
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「概説」
1-methyl-4-pheny1-1,2,3,6-tetrahydropyridine(MPTP)は人工ヘロインmeperidine(1-methyl-4-phenyl-4-piperidinecarboxylic acid ethyl ester)の合成中誤って合成され,これを注射したヒトに5から15日以内にParkinsonism(PI)を誘発する1,2)。MPTPによるPIの臨床症状は自然発症のParkinson's disease(PDに類似し,病理的には黒質に限局したドーパミン(DA)ニューロンの細胞変性が見られた。自然発症のPDでは,黒質線条体のDA量が低下するだけでなく,生合成に関与するチロシン水酸化酵素(TH)とDOPA脱炭酸酵素(DDC)の活性低下がある。ヒトのMPTPにより誘発されたPIでは脳脊髄液のDAの代謝産物ホモバレリン酸(HVA)量の低下がありPDと同様のDA生合成の阻害があると考えられる。長年慢性に経過したPDではノルエピネフリン(NE)系,セロトニン(5-HT)系の神経障害が示唆されている。MPTP-PIの脳脊髄液ではNEの代謝物4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルエチレングリコール(MHPG)は増加し5-THの代謝物5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)は変化しなかった。
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