別冊秋号 透析と麻酔
PART2 透析患者の麻酔管理
11 透析患者の薬物動態
坪川 恒久
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.89-96
発行日 2023年9月20日
Published Date 2023/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200361
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
麻酔科医はさまざまな目的で患者に薬物を投与する。投与にあたっては薬物の選択から始まり,続いて投与量を調節する。腎機能は生体内のシステムのうち最も多様性に富み,正常な人から廃絶してしまっている人まで存在する。このうち,腎機能は低下しているが透析には至っていない患者に薬物を投与する場合は配慮が必要である。まずその薬物に腎毒性がないことを確認し,次に主に体重と糸球体濾過量glomerular filtration rate(GFR)などを参考に投与量を調節することになる(コラム)。低血圧,低酸素,貧血など腎機能をさらに低下させるリスクを避けた麻酔管理を行い,周術期に腎機能低下が生じて透析導入とならないように細心の注意を払う必要がある。だが本稿の目的は,すでに腎機能をほとんど失い透析が導入されている患者に対して,どのように薬物を選択し,投与量を調節するかについて解説することにある。
Copyright © 2023, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.